アニサキスは、すぐに当院へ
アニサキス症とは、海の生物を宿主とする寄生虫の一種の「アニサキス」が寄生した魚介類を食べることによって起こる寄生虫感染症です。症状には、激しい腹痛、吐き気、嘔吐、腹部膨満感などがあります。これらの症状が現れたら、当院にすぐにご連絡ください。
即日の胃カメラ検査によって対処できる可能性がありますが、検査は最後の食事から7時間以上空ける必要があります。
こんな症状がある場合はアニサキスが原因かもしれません
魚を食べてから数時間後に以下のような症状が現れた場合、アニサキスが原因の可能性があります。
- 心窩部(みぞおち)の激しい痛み
- 吐き気・嘔吐
- お腹がひどく張る
- 便やおならが出なくなった
など
アニサキスとは?
ヒトはアニサキスの最終宿主ではないため、消化管に留まることでアニサキス症をはじめとしたさまざまな病気を引き起こす恐れがあります。
アニサキスが寄生している魚介類は、サバ・サンマ・アジ・イワシなどの青魚、サケ・イカなどです。アニサキスは長さが1.5~3cm程度、太さは0.5~1mm程度と肉眼で確認できる大きさのため、浅いところに入っている場合はご自身でも見つけることができます。
アニサキスによって発症する疾患
胃アニサキス症
アニサキスは、人体に入ると胃で症状を引き起こします。アニサキスは胃壁に食い込むことによって痛みを引き起こすといわれていましたが、実はアレルギー反応によって起きるものであることがわかっています。症状が現れない慢性アニサキス症から、激しい症状を引き起こす急性アニサキス症まで、症状の現れ方はさまざまです。
急性アニサキス症では、魚介類を食べてから数時間~10時間以上経過してから激しい胃痛、吐き気、嘔吐などが現れます。
腸アニサキス症
稀に、アニサキスが小腸へと入り込んでしまうことがあります。魚介類を食べてから半日から数日を経て激しい腹痛、吐き気・嘔吐などが現れます。小腸には内視鏡が届かないため、症状を和らげることを目的とした対症療法を行います。 悪化すると、腸閉塞や腸穿孔からの腹膜炎などを引き起こし、緊急手術となる可能性もあるため、症状が見られた時点でなるべく早くご相談ください。
消化管外アニサキス症
アニサキスが消化管壁を突き破って、腹腔内の臓器などで症状を引き起こす場合があります。症状は、アニサキスがいる場所によって異なります。魚介類を食べて何らかの症状が起こった場合は、すぐにご相談ください。
アニサキスアレルギー
アニサキスアレルギーとは、アニサキスに対するアレルギー反応のことです。通常、生きているアニサキスを摂取したときは激しい症状が現れますが、後に死滅すると症状は消えていくという一時的なものです。 アニサキスアレルギーのある人は、アニサキスがいた魚介類を加熱してもアレルギー症状を引き起こすことがあります。多くの場合、症状は蕁麻疹程度ですが、まれにアナフィラキシーショックを引き起こす場合があるため注意が必要です。 もし、青魚を食べると蕁麻疹が出るという人は、青魚ではなくアニサキスにアレルギーがあるかもしれません。そのため、青魚を食べるときは十分に加熱してから食べるようにしてください。
アニサキスの検査・対処法
胃アニサキス症はほとんどが胃で発症するため、胃カメラが有効です。アニサキスは1.5~3cm程度の長さがあるため、胃カメラで確認できます。もしアニサキスが小腸や腸管外に出てしまった場合は、腹部エコーやCTで確認します。大腸に到達した場合は、大腸カメラ検査を行うこともあります。
胃アニサキス症
胃アニサキス症では、命を落とすケースは報告されていませんが、非常に強い痛みが現れます。胃カメラでアニサキスを取り除けば症状は治まります。
アニサキスアレルギー
アニサキスアレルギーでは、蕁麻疹など軽い症状が多く、抗ヒスタミンや抗アレルギー薬で治療します。重症の場合はステロイド薬も使用します。アナフィラキシーショックが疑われる場合は救急対応が必要です。
腸アニサキス症
腸アニサキス症は非常に稀で、腹部超音波検査などで確認する場合もありますが、特定できないことも少なくありません。対症療法によって辛い症状を緩和しながらアニサキスの死滅を待ちます。
消化管外アニサキス症
消化管外アニサキス症は非常に稀な症状で、消化管に穿孔を起こすこともあります。手術が必要な場合もあるため、早めの受診が必要です。
アニサキスを予防するために
アニサキスアレルギーの可能性がある人は、青魚などで蕁麻疹などが出ることがあります。魚介類を食べたい場合は、原因となる海洋魚介類を避け、アニサキスが寄生することがない貝を食べましょう。なお、食物連鎖によって宿主を得るアニサキスは、養殖魚など食物連鎖と関係がない環境で育った魚には寄生しないため安全です。アニサキスは十分に加熱することで死滅します。焼き魚、煮魚、フライなどを食べるときは中まで十分に火を通しましょう。刺身で食べる場合は、冷凍のものや養殖のものを選ぶと安心です。また、アニサキスは宿主が死ぬとすぐに内臓から筋肉に移動するため、新鮮な魚の内臓に付着していることがあります。新鮮な魚を調理する場合は内臓をすぐに取り除き、生食はしないようにしましょう。酢締めや山葵ではアニサキスは死滅しないため、誤った方法で対処しないよう注意が必要です。